フランスの片田舎に住んでいる日本人主婦です。いつも散歩を楽しんでいますが、時折びっくりするくらいおしゃれな庭、素敵なお家に遭遇することが多く、目の保養になるとともにたいへん参考になります。どういったお庭がトレンドなのか…というのは、その住宅地の住民層や土地の気候などによっても異なってくると思うのですが、一概に感じられることは「皆、割と大きな目線での調和を考えているのだなあ…」という点です。
例えば、広大な敷地を生かして大量の灌木・樹木を植え、ヴェルサイユ宮殿なみに力を入れた直線的花壇を誇っていらっしゃるお宅もありますし、またごく小さなアパートメントのバルコニーでも、ポップな色調のプランターや吊り下げ植木鉢をうまく配置して、「小さな憩いの空間」を作り上げている方もいます。そういった方々は、何気なくお家の屋根や外装の色あいと合うような花々を選んでいたりするので、遠目に眺めても本当に調和していて絵になるのです。また、傾きかけて詫びさびの情緒を感じるような古い石造りのお宅に沿うように、ヒースやスイカズラ、古い種類のバラなどをごく自然に生やしているところ、建造物の鄙びたイメージを最大限に活用している上級者の技も見かけ、「やるなあ」とうなることもしばしばあります。
逆に、お金も時間もかけていそうなのに、原色ばかりのお花を植えて視覚がチリチリになりそうなところへ、わざと古く見せかけた、ブッダ石像などを置いたりして、どうにも変てこりんな印象にしてしまっているお家もよく見かけます。(余談ですが、フランスのホームセンターでは、こういったなんちゃってブッダ像が売られており、日本人の私としてはものすごく違和感を感じます。)
色々な目撃例を挙げましたが、お庭しろうとの私でも一見してわかるフランスのおしゃれな庭は、「現時点であるものを最大限生かし、かつ周囲との調和を考えて作られている」という点です。日本のガーデニングファンの皆様の、参考になれば幸いです。